8作目 サウルの息子

「サウルの息子」を観た。






戦争映画として、歴史的にみても最重要映画の一本であることは間違いないであろう作品。

観たい観たくないというより、観なくてはならない一本ではあったのだけれど、内容が内容なだけに、アンタッチャブルでしたが、意を決して鑑賞してみました。

ゾンダーコマンド
ナチスが猛威を振るったころ、アウシュビッツなどをはじめとするユダヤ人を「処分」するための強制収容所などにおいて、ユダヤ人が同じユダヤ人をシャワーで体をきれいにすると言って、ガス室へ送り、さっきまで生きていた人たちの死体を「処分」させられる。
当時のナチスとしては、収容所というものは、歴史から葬り去りたいということもあって、秘密封じのために、ある一定期間、ゾンダーコマンドとして働かされた、ユダヤ人は処刑されてしまう。そんな人々を描いた、正直辛い映画です。

まずこの映画の特徴として、多くの映画はより画面をよくし、観客に観てもらうために作られているけれど、今作は大半がみせないように作られています。
登場人物と主要な人物を除いて、ほぼ拝啓はボケています。が、自分が今見ているシーンは、どんなに残虐で非道なシーンなのかは、容易に推測できます。
死体をもののように引きずったり、焼いたり・・・

強制収容所内の話なので、登場人物はユダヤ人とナチスのみです。
主人公の息子(?)を、ユダヤ人の方法で埋葬したい。これが物語の最も重要なテーマです。
しかしながら、ユダヤ人に対する認識不足のため、理解に苦しむ描写が多々ありました。一連のテロ行為なんかもそうですが、宗教を諸外国のようにあまり重んじていない日本人は誰もが壁として感じる部分だと思います。

実際に収容所でゾンダーコマンドとして働かされていた人たちが、なんとか後世に記録を残そうと、収容所内では貴重とされた紙(記録を残してはいけないため紙の管理は徹底されていたそう)を命からがら入手し、記録し、ビンに封じ、埋める。戦後、収容所跡から実際にいくつかの記録が入ったビンがみつかっているそうです。
また、現存するのは数枚しかないみたいけれど、写真を撮影し記録したゾンダーコマンドもいました。
そういった歴史の被害者となった人たちのおかげで、今作のような映画が誕生したそうです。

代表的なのはナチスですが、何かをきっかけに人はどうしてこんなにも残忍で非道になれるのか。
戦争、テロ、いじめ・・・
単純なことしか言えない自分にため息が出るけれど、切実に「平和」を祈ります。

というのが、良心的な感想ですが、ここからは、悪態をさらしたいと思います。

収容所で極限の状態ということはわかる。
ユダヤ人と日本人、宗教的にも倫理的にも価値観も、相容れないのは十分にわかる。
しかし、主人公のサウル、勝手すぎるんだよ!
サウルの勝手で何人が犠牲になったか。
サウルの勝手な行動で何人の命が脅かされたか。
常々このブログで発言していますが、他人の迷惑をかえりみず、自分のためだけに動き、周囲に迷惑をかける人を描いた映画って大嫌いなんです。
残念ながら今作は、最初から最後まで主人公サウルのgoing my wayです。フランク・シナトラもびっくりするで。
だから残念なことに、今作の鑑賞時は最初から最後までほぼイライラしていました。
息子(?)を埋葬するために、「ラビ」と呼ばれる、ユダヤ人の聖職者を収容所に連行された大量の人の中から探そうとするのですが、やはりここも日本人では考えられません。次から次へと人が殺されて、自分も勝手な行動をしたらすぐに銃口が向けられるそんな状況のなか、日本人であれば「お坊さん!お坊さん!どこかにお坊さんはいませんか?」なんて絶対に言わないだろうし。比較することが間違っているのは百も承知ですし、ユダヤ人を馬鹿にしているつもりもありません。
でも人名を危険にさらしたり、迷惑をかけてまでも守ろうとする宗教観は私たち日本人には理解できないところだと思います。

右往左往して申し訳ございません。
最後に悪態をつかせていただきましたが、戦争を知らない世代がこれからどんどん増えていくなかで、負の歴史を学ぶため、人間の愚かさ、すばらしさを感じるために、全人類必見の一本であることには間違いありません。

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by putain-day | 2017-02-04 05:45 | MOVIE2017 | Comments(0)
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